ふるさとへ向かう最終に
乗れる人は急ぎなさいと
やさしい
やさしい声の駅長が
街なかに叫ぶ
振り向けば空色の汽車は
いまドアが閉まりかけて
灯りともる窓の中では
帰りびとが笑う
走りだせば
間に合うだろう
かざり荷物をふり捨てて
街に街に挨拶を
振り向けばドアは閉まる
振り向けば空色の汽車は
いまドアが閉まりかけて
灯りともる窓の中では
帰りびとが笑う
ふるさとは走り続けた
ホームの果て
叩き続けた
窓ガラスの果て
そして手のひらに
残るのは
白い煙と乗車券
涙の数ため息の数
溜ってゆく空色のキップ
ネオンライトでは
燃やせない
ふるさと行きの
乗車券
たそがれには
彷徨う街に
心は今夜もホームに
たたずんでいる
ネオンライトでは
燃やせない
ふるさと行きの
乗車券
ネオンライトでは
燃やせない
ふるさと行きの
乗車券