大おおきな川かわに木この葉一枚はいちまい女おんなが一人乗ひとりのっている小ちいさな舟ふねと案あんずるな波なみがからだに伝つたい来くるのぞいてみればこんなに近ちかい大おおきな舟ふねにはわかるまい貧まずしき涙なみだで女おんなの涙なみだで濁にごるこの川かわ長ながい日々ひびに どれほど多おおくの か弱よわき者ものが泣ないてきたそれを運命さだめとあきらめて愚おろかな言葉ことばに泣ないてきた私わたしだけは知しっている この筆ふで残のこすのだこの世よという名なの大おおきな川かわを生いきて行いく渡わたりぬく恋こいも傷きずも涙なみだも愛あいも この詠うたに残のこすのだ命いのちという名なの はかない川かわを越こえて行いけ残のこりゆけ濁にごりゆくこの川かわを生いきてゆけ渡わたりぬけ