娘むすめざかりは誰だれでも着きたい花はなの振袖ふりそで涙なみだで捨すてて男おとこすがたの身みは旅役者たびやくしゃ尾花おばな咲さく咲さく ああ秋あきが来くる父ちちよ母ははよと蓑虫みのむしさえも秋あきは啼なく啼なく楽屋がくやの隅すみで恋こいし長崎ながさきベーロン祭まつり敵かたき討うつ日ひは ああ いつじゃやら恋こいの淡雪あわゆきはかなく消きえた江戸えどのまぼろし浪路なみじさま熱あつい情じょうに役者やくしゃが流ながす今日きょうの涙なみだは ああ嘘うそじゃない