月の夜に岸を出て あてどもなく岸を出て
月の残す曳き波が光るのを辿ってゆく
朝になれば あの人は何もかも元のとおり
私を知らぬ人になり穏やかに暮らすだろう
遥かな波の彼方何かが気になっても
何も其処に見つけはしない
気のせいだけで終わるだろう
月の夜に岸を出て想いを捨てにゆく
月の夜はひきとめて夢だけひきとめて
水平線が見当たらないほど
月の出ない闇ならば遠い灯り間違えて
街の夜に騙されて涙を抱きしめる
月の夜は空の中花が咲いているようで
あの人にとどけたくて どこまでも辿ってゆく
言えば良かったことが月の中に揺れてる
言わなければ良かったことが
水面の月に揺れている
月の影に誘われて想いを捨てにゆく
月の夜は抱きしめて夢だけ抱きしめて
月を背にすれば闇が道標
許されているような しどけなさを真に受けて
街の夜に騙されて涙を抱きしめる