追いかけて春夏秋冬

山崎ハコ

彼岸ひがんを過すぎて九日ここのか十日とおか
桜さくらの上うえに雪ゆきが降ふる
宿やどの小窓こまどを開あけて ためいき
待まてといってた あなたを待まちながら
追おいかけて追おいかけて春夏秋冬しゅんかしゅうとう
春はるは東京とうきょうにだまされる

あなたの傘かさを開ひらいて乾ほして
どうやら梅雨つゆも あけたよう
死しぬの生いきるの抱だいて抱だかれた
重おもい心こころも今日きょうから軽かるくなる
追おいかけて追おいかけて春夏秋冬しゅんかしゅうとう
夏なつは金魚きんぎょと遊あそびたい

春はるから夏なつの激はげしさ去さって
秋風あきかぜ胸むねにしみる頃ころ
赤あかい紅葉もみじの色いろに染そまって
ひとりわたしは恋こいする夜叉やしゃになる
追おいかけて追おいかけて春夏秋冬しゅんかしゅうとう
秋あきは小指こゆびが痛いたくなる

恋こいするたびに不幸ふこうになって
からだも軽かるく風かぜに舞まう
冬ふゆの花火はなびに耳みみを塞ふさいで
愛あいのふりする あなたを睨にらんでる
追おいかけて追おいかけて春夏秋冬しゅんかしゅうとう
冬ふゆは心中しんじゅがしたくなる