いい女

Uru

ねぇ、大丈夫だいじょうぶだよ
言いわなくてもわかってる
長ながい間あいだ隣となりにいたんだから

ねぇ、そんな顔かおしないでよ
私わたしの方ほうが悲かなしいよ
でも笑わらってるのもなんか変へんだね

でもさ、いつからかな
いつから離はなれていったのかな
あの日ひコップを二ふたつ買かってきた時ときは
「可愛かわいいね」って喜よろこんでいたけど

あれは嘘うそじゃないよね
ごめんね、責せめるつもりじゃないんだけどさ

朝あさと虫むしは苦手にがてだったけど
笑顔えがおが可愛かわいくて
時々ときどきちゃんと男おとこらしくて
夢中むちゅうになると話はなしを聞きいてなくて
もういいよって怒おこったりしたけどそこも

好すきだった

ねぇ、これはどうしようか
あなたが持もっていてよ
いらなくなったら捨すてていいから

でもさ、二人ふたりで会あうのは
今日きょうが最後さいごになるのかな
そんな風ふうに思おもうとちょっとなんだか
ううん、
全然ぜんぜん寂さびしくないな

次つぎがうまくいったなら
私わたしのおかげだって思おもってよね

機嫌きげんが悪わるいと面倒めんどうだったけど
寝顔ねがおは愛いとしくて
子こどもみたいにはしゃぐくせに
私わたしが泣なくと強つよく抱だきしめてくれた

思おもい出だすのは
もうやめよう

料理りょうりも化粧けしょうももっと上手じょうずになって
綺麗きれいになって
あの時とき別わかれなければ良よかったって
戻もどってきたいって言いったって
その時とき私わたしにはもうとっくに新あたらしい人ひとがいて

あなたのことなんて忘わすれているんだから
忘わすれているんだから

ここで今いま私わたし思おもい切きり笑わらうから
この顔かおを綺麗きれいにしまっておいてね

さよなら