うなされ続けていたね眠りの外の国では
終わりの見えない悲しみごとが空に横たわっていた
眠れる歌を聴かせて鎮かな花を咲かせて
数えきれない涙の上に粉雪を降らせて
心を持つのは人だけ いいえそれは思い上がり
鳥は歌う虫は歌う なのに人は なのに人は
樹々は歌う水は歌う なのに人は なのに人は
悲しみを晴らすために新しく誰を悲しませるの
夢の京へ帰ろう もう無い国へ帰ろう
時は戻らない夢は戻れる怖れることはない
長く生きて来た樹の根に生まれたての若木が訊く
鳥は昔ここに来たの人は昔ここに来たの
鳥は今はどこにいるの人は今はどこにいるの
荒れ果てた野辺に小さな若木がただ背伸びをしている
夢の京へ帰ろう もう無い国へ帰ろう
時は戻らない夢は戻れる怖れることはない
樹々は歌う水は歌う なのに人は なのに人は
欲の轍に轍を重ね自らを埋ずめてゆくの
夢の京へ帰ろう もう無い国へ帰ろう
時は戻らない夢は戻れる怖れることはない
怖れることはない