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夢の京

中島みゆき

うなされつづけていたねねむりのそとくにでは
わりのえないかなしみごとがそらよこたわっていた
ねむれるうたかせてしずかなはなかせて
かぞえきれないなみだうえ粉雪こなゆきらせて
こころつのはひとだけ いいえそれはおもがり
とりうたむしうたう なのにひとは なのにひと
樹々きぎうたみずうたう なのにひとは なのにひと
かなしみをらすためにあたらしくだれかなしませるの
ゆめみやこかえろう もうくにかえろう
ときもどらないゆめもどれるおそれることはない

ながきてまれたての若木わかぎ
とりむかしここにたのひとむかしここにたの
とりいまはどこにいるのひといまはどこにいるの
てた野辺のべちいさな若木わかぎがただ背伸せのびをしている
ゆめみやこかえろう もうくにかえろう
ときもどらないゆめもどれるおそれることはない

樹々きぎうたみずうたう なのにひとは なのにひと
よくわだちわだちかさみずからをうまずめてゆくの
ゆめみやこかえろう もうくにかえろう
ときもどらないゆめもどれるおそれることはない
おそれることはない