日本語

エレーン

中島みゆき

かぜにとけてったおまえがのこしていったものといえば
おそらくだれそうにもない
やす生地きじのドレスがかばんにひとつと

みんなたぶん一晩ひとばんわすれたいとおもうようなわるうわさ
どこにもおまえをっていたと
くちせないやつらがなが悪口わるくち

みんなおまえをわすれてわすれようとして幾月いくつきながれて
突然とつぜんなにもらぬ子供こども
ひきしのうらからなにかをみつける

それはおまえのまれたくにかねえたわずかなあぶくぜに
そのときくちをきかぬおまえのさびしさが
突然とつぜんわたしにもこえる

エレーンきていてもいいですかとだれいたい
エレーン そのこたえだれもがってるからだれえない

ながれてうわさはどれもみんな本当ほんとうのことかもしれない
おまえは たちのわるおんな
んでいってかったやつかもしれない

けれどどんなうわさより
けれどおまえのどんなつくりわらいより、わたし
わらわずにいられないさびしさだけは真実しんじつだったとおも

今夜こんやあめつめたい
さきもなしにおまえがいつまでも
あかりのあたたかにともったにぎやかなまど
ひとつずつ のぞいてる

今夜こんやあめつめたい

エレーンきていてもいいですかとだれいたい
エレーン そのこたえだれもがってるからだれえない
エレーンきていてもいいですかとだれいたい
エレーン そのこたえだれもがってるからだれえない