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ごまめの歯ぎしり

中島みゆき

目出度めでたいことからないけれど
わたし、このごろうたがいぐりぶか
ひと気持きもちや真心まごころよりも
ひと打算ださんいてしまう
ひとがついたのかひとせたのか
あののように単純たんじゅんに あののように明快めいかい
てくれだとか肩書かたがきだとか
そんなものにはいつかないのよ
だから1ひとりでおちゃむんです
ごまめのぎしりでしょうね、たぶん

かしこいことからないけれど
わたし、このごろよそおお
どこが素敵すてきつめるよりも
どこが胡乱うろんつめてしまう
りた記憶きおくがささやくのりる予感よかんがささやくの
あののように全身ぜんしんで あののように全霊ぜんれい
空振からぶりしたらなおれない
なおるほど時間じかんがないでしょ
だからつめたく世間話せけんばなしです
ごまめのぎしりでしょうね、たぶん

油断ゆだんをするとこいをする弱気よわきになるとこいをする
そこらのひとぱしあいわらずつんのめる
たかにあるブドウはどうせ
っぱいとでもっておきましょう
だから1ひとりほしるんです
ごまめのぎしりでしょうね、たぶん
だから1ひとりほしるんです
ごまめのぎしりでしょうね、たぶん