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遍路

中島みゆき

はじめてわたしに スミレの花束はなたばくれたひと
サナトリウムにえて
それきりもどってはなかった
はじめてわたしながなが手紙てがみいたひと
仲間なかまたちのまえ
大声おおごえみあげわらってた
わたしがまだ一人旅ひとりたびあこがれてたころ
もういく遠回とおまわみちまりみち
にさげたすずおと
かえろうといそごうと
うなずくわたしかえみち
とうになくしたのをっている

はじめてわたしあまあい言葉ことばくれたひと
わたしつとめたみせ前借まえがりにあらわれ雲隠くもがく
はじめてわたしわらがおがいいとったひと
あれはわたしちが
となりせきむすめあての挨拶あいさつ
もういく遠回とおまわみちまりみち
にさげたすずおと
かえろうといそごうと
うなずくわたしかえみち
とうになくしたのをっている

はじめてわたし永遠えいえんあいちかいくれたひと
ふたりでらすいえ屋根やねめにのぼ
それっきり
はじめてわたしむかしわすれろとったひと
今度こんどかれ人違ひとちが
あまりにだれちすぎたあげくに
もういく遠回とおまわみちまりみち
にさげたすずおと
かえろうといそごうと
うなずくわたしかえみち
とうになくしたのをっている