炎と水

中島みゆき

あなたは炎ほのおの大地だいちを歩あるき途切とぎれた未来みらいへ注そそぎ込こむ者もの
けれども情じょうの深ふかさのあまり己おのれを癒いやせず凍こごえゆく者もの

私わたしは凍こおった大地だいちを歩あるき凍いてつく昨日きのうを暖あたためる者もの
けれど思おもいの熱あつさのあまり己おのれを癒いやせず身みを焦こがす者もの

Flame & Aqua なんて遠とおい者ものたち
私わたしたちは互たがいに誰だれより遠とおい
Flame & Aqua なんて同おなじ者ものたち
いちばん遠とおい者ものが いちばん近ちかいの

私わたしはあなたを傷きずつける者もの誰だれよりあなたを傷きずつける者もの
けれども唯一ゆいいつ癒いやせるすべを それとは知しらずに持もっている者もの

Flame & Aqua なんて遠とおい者ものたち
私わたしたちは互たがいに誰だれより遠とおい
Flame & Aqua なんて同おなじ者ものたち
いちばん遠とおい者ものが いちばん近ちかいの
Flame & Aqua互たがいから生うまれあう
あなたがいなければ
私わたしはまだ生うまれていないような者もの

あなたがあなたになればなるほど
私わたしが私わたしになればなるほど
互たがいは互たがいが必要ひつようになる誰だれから教おしえられることもなく

Flame & Aqua あなたは一途いちずな水みず
私わたしたちの行方ゆくえを指さし示しめす者もの
Flame & Aqua私わたしは揺ゆれる炎ほのお
私わたしたちの行方ゆくえを照てらし出だす者もの
Flame & Aqua求もとめずにいられない
私わたしたちは
あまりにひとりでは担にない過すぎる炎ほのおと水みず