忘れな草をもう一度

中島みゆき

ふいに聞きいた噂うわさによれば
町まちはそろそろ春はるのようです
君きみのいない広ひろい荒野こうやは
いつも今いまでも冬ふゆというのに
君きみの町まちは晴はれていますか
花はなの種たねは育そだちましたか
僕ぼくはここで生いきてゆきます
未練みれんな手紙てがみになりました
忘わすれな草ぐさもう一度いちどふるえてよ
あの人ひとの思おもい出でを抱だきしめて
忘わすれな草ぐさもう一度いちどふるえてよ
あの人ひとの夢ゆめにとどけ

春はるや夏なつや秋あきが あるのは
しあわせ行ゆきの駅えきの客きゃくです
君きみを乗のせた最後さいごの汽車きしゃが
消きえた荒野こうやは長ながい冬ふゆです
君きみは今いまも咲さいていますか
誰だれのために咲さいていますか
僕ぼくはここで生いきてゆきます
未練みれんな手紙てがみになりました
忘わすれな草ぐさもう一度いちどふるえてよ
あの人ひとの思おもい出でを抱だきしめて
忘わすれな草ぐさもう一度いちどふるえてよ
あの人ひとの夢ゆめにとどけ

君きみは今いまも咲さいていますか
誰だれのために咲さいていますか
僕ぼくはここで生いきてゆきます
未練みれんな手紙てがみになりました
忘わすれな草ぐさもう一度いちどふるえてよ
あの人ひとの思おもい出でを抱だきしめて
忘わすれな草ぐさもう一度いちどふるえてよ
あの人ひとの夢ゆめにとどけ