あなたでなければ

中島みゆき

見間違みまちがえるなんてはずは ありえないと思おもうんです
聞ききそびれるなんてはずは ありえないと思おもうんです
馴染なじんだあなたのことぐらい わかりきったつもりでした
見慣みなれたあなたの肌はだぐらい思おもい出だせるつもりでした
その肌はだは誰だれのもの
その声こえは誰だれのもの
知しらない人ひとを見みるようで心こころもとなくなるけれど
あなたでなければイヤなんです
あなたでなければ駄目だめなんです
似にたような人ひとじゃなくて代かわりの人ひとじゃなくて
どうしてもあなたにいてほしいんです

そうです出会であった日ひのあなたとも ほんの昨日きのうのあなたとも
違ちがうあなたになれるんですね人ひとは変かわってゆくんですね
そうよね変かわらないつもりでいた私わたしだって変かわるんですよね
どうせ変かわってゆくものなら あなたと一緒いっしょに変かわりたい
その爪つめは誰だれのもの
その文字もじは誰だれのもの
あなたを1から覚おぼえなきゃ私わたしを1から言いわなきゃね
あなたでなければイヤなんです
あなたでなければ駄目だめなんです
似にたような人ひとじゃなくて代かわりの人ひとじゃなくて
どうしてもあなたにいてほしいんです

海うみを見みていたせいかしら
はるか見みていたせいかしら
あなたの目めに映うつる世界せかいに私わたしがいないようで海うみを憎にくんだ
あなたでなければイヤなんです
あなたでなければ駄目だめなんです
似にたような人ひとじゃなくて代かわりの人ひとじゃなくて
どうしてもあなたにいてほしいんです
あなたでなければイヤなんです
あなたでなければ駄目だめなんです