五月の陽ざし

中島みゆき

遠とおい日ひの あなたの贈おくり物もの
まだ開あけてみることもなかった
リポンを見みただけで何なにか重おもい気きがしてしまったんです

贈おくり物ものは難むずかしいものです
喜よろこぶかと迷惑めいわくだろうかと
その代かわりに何なにか望のぞんでると疑うたがわれたら悲かなしい

難むずかしい意味いみなのかと おじけづいて放ほうり出だして

長ながい年月ねんげつが過すぎて理由りゆうも忘わすれてほどいてる
色いろの梱あせたリボン

小箱こばこには綿わたにくるまれて
ドングリが きょとんと光ひかってた

遠とおい日ひの あなたの贈おくり物もの
まだ開あけてみることもなかった
植うえてみようかとも思おもったけれど すでに時ときは過すぎたね

黙だまったまま逃にげ帰かえった話はなしづらくなっていった

五月ごがつの陽ひざしの中なかで
あの素直すなおな笑顔えがおの人ひとを思おもい出だしてみます

「ありがとう」でよかったのにね
ドングリにまで気きの毒どくなことをしました