黄昏

テレサ・テン

黄昏たそがれには別わかれの涙なみだが似合にあう
過去かこを乗のせた バスを見送みおくれば
家路いえじを急いそぐ人ひとごみにまぎれ
悲かなしみの捨すて場所ばしょを探さがして歩あるくけれど

私わたしには帰かえる あなたの胸むねがない
想おもい出でがゆれる あの部屋へやだけね
私わたしの心こころは ただ迷子まいごの様ように
ひとり街まちをさまよう あてもなく

惜別せきべつには古ふるびたピアノが似合にあう
水みずで割わったお酒さけ飲のみほせば
またひとつだけ悲かなしみをならべ
止とまり木ぎにため息いきを落おとしてしまうけれど

私わたしには話はなす あなたの肩かたがない
指先ゆびさきでゆらす このグラスだけ
私わたしの心こころは ただ無口むくちなままで
ひとり夜更よふけさまよう あてもなく

私わたしには帰かえる あなたの胸むねがない
想おもい出でがゆれる あの部屋へやだけね
私わたしの心こころは ただ迷子まいごの様ように
ひとり街まちをさまよう あてもなく