生うまれて父ちちの顔かお知しらず恋こいしい母ははの名なも知しらぬわたしゃ旅路たびじの角兵衛獅子かくべえじし打うつや太鼓たいこの ひとおどり情なさけを知しらぬ親方おやかたの昼寝ひるねのひまに空そら見みれば雁かりも親子おやこで帰かえるのにわたしゃ越後えちごへ いつ帰かえる旅路たびじにまたも茶ちゃの花はなが匂におえば故郷くにを想おもいだす赤あかい万燈まんとう村むらまつり幼馴染おさななじみが忘わすらりょか