00:00:11
(テンマ)“6月19日”
00:00:13
“フランツ・フランツボナパルタと
初めての面会”
00:00:17
“R・“RF・“RF17・179 非常に物静かな男”
00:00:23
{\an8}(車の走行音)
00:00:23
“優雅な立ち振る舞い スーツ姿”
00:00:24
“優雅な立ち振る舞い スーツ姿”
00:00:26
“午後 子供たち 集まり 朗読会”
00:00:39
(地元の男性)
どこまで行きたいんだ?
00:00:40
(テンマ)国境まで
(地元の男性)どこの?
00:00:43
(テンマ)チェコなんですが
00:00:44
(地元の男性)乗りな
00:00:46
(テンマ)ありがとう
00:00:58
(テンマ)
“午後 子供たち 集まり 朗読会”
00:01:02
“とても奇妙な屋敷
赤いバラの屋敷”
00:01:07
“P(ペー)・ブジェヴノフ W(ヴェー)”
00:01:10
“左に尖塔(せんとう) 右に風見鶏”
00:01:14
“人間の尊厳 実験”
00:01:18
“すばらしい実験 尊厳の剥奪”
00:01:22
(地元の男性)
あんた どこの人間だい?
00:01:23
えっ?
00:01:25
国は どこだって聞いてんだ
00:01:26
あ… 日本人です
00:01:29
日本人の口に合うかどうか
分からねえが
00:01:34
食いな 昼飯の残りもんだけどよ
00:01:37
(テンマ)ありがとう でも…
(地元の男性)食えって
00:01:40
今にも ぶっ倒れそうな顔してるぜ
00:01:43
ハッハッハッ…
00:01:45
女房がよ
ダイエットしろって うるせえんだ
00:01:49
じゃあ 遠慮なく
00:01:51
(地元の男性)ああ 食え 食え
00:01:53
食わなきゃ 長旅は もたねえぞ
00:02:01
(テンマ)もう
終わらせなきゃいけないんです
00:02:04
この旅も
00:02:07
♪~
00:03:23
~♪
00:03:36
(ライヒワイン)何だって?
00:03:38
(ライヒワイン)行かせたって…
00:03:40
テンマを そのまま行かせたのか?
(ヴァーデマン)ええ
00:03:43
(ライヒワイン)
なぜ引き止めなかった?
00:03:46
(ヴァーデマン)引き止められる
人間じゃないことは
00:03:48
お分かりでしょう
00:03:50
(ライヒワイン)しかしだな…
(ヴァーデマン)まして 今は⸺
00:03:52
エヴァ・ァハイネマンが
行方不明という 一刻を争う状況だ
00:03:57
テンマは そのために脱走までした
00:04:01
(ライヒワイン)ハァ…
00:04:08
そのバウルと名乗る弁護士
00:04:11
恐らく 診療所で
私の命を狙った男と同一人物だ
00:04:17
彼の狙いは 私に近付き
父のメモを手に入れることだった
00:04:22
そのメモ
よほど重要なものらしいな
00:04:26
(ヴァーデマン)そろそろ行きます
(ライヒワイン)どこへ?
00:04:29
テンマの向かった場所
00:04:31
(ライヒワイン)赤いバラの屋敷か
00:04:33
場所は?
00:04:35
(ヴァーデマン)父のメモは
意味不明な記述ばかりですが
00:04:39
あれは暗号じゃないと思います
00:04:41
“赤いバラの屋敷
P・Pブジェヴノフ W”
00:04:47
Pはプラハ Wは西
00:04:50
プラハ郊外 ブジェヴノフから西
00:04:54
“左に尖塔 右に風見鶏”の
見える場所
00:04:59
なるほど
00:05:01
願わくば その屋敷に
00:05:03
事件を解決に導く証言者でも
いてくれれば
00:05:07
しかし 今となっては…
00:05:10
(ヴァーデマン)いや
(ライヒワイン)あっ?
00:05:13
“午後 子供たち 集まり 朗読会”
00:05:17
メモにあった記述です
00:05:19
(ライヒワイン)
当時の子供たちが証言者か
00:05:23
ヴァーデマンさん
00:05:26
さっき 私は あんたが
テンマを行かせたことを責めた
00:05:30
だが もし 私が
あんたと同じ立場だったら
00:05:33
同じようにしたと思う
00:05:37
さあ 行こう
00:05:43
(ニナ)私は ここにいた
00:05:47
(ニナ)この街に住んでた
00:05:52
そして…
00:05:56
(アンナ)おかえり
00:05:57
(心臓の鼓動)
(ニナ)はっ
00:05:59
あっ うっ…
00:06:00
(ディーター)
えっ 大丈夫? ニナ
00:06:04
(ニナ)あ… 大丈夫
00:06:09
(ディーター)
諦めたほうがいいと思うよ
00:06:12
何度やっても
迷っちゃうんだから
00:06:16
ううん きっと思い出す
00:06:19
あの時
お兄ちゃんは 私に話してくれた
00:06:23
“三匹のカエル”から連れ去られて
00:06:26
どこを通って
どこへ連れていかれたか
00:06:30
駅を過ぎて 左に街を見ながら
00:06:34
川沿いを路面電車と一緒に走り…
00:06:36
(クラクション)
00:06:43
あっ そこで右に…
00:06:45
(チャペック)ダメだよ
00:06:48
(ニナ)あっ
00:06:50
(チャペック)
彼に隠し事をしちゃ ダメだよ
00:06:53
はっ
00:06:56
(運転手)右でいいんだね?
00:07:00
どうしたの?
00:07:03
な… 何でもない
00:07:11
どう? 目印ある?
00:07:16
分からない
00:07:18
もう 無理だよ
00:07:21
そんな昔の話 思い出せやしないよ
00:07:25
ニナ!
00:07:50
(物音)
(ニナ)あっ
00:08:01
右に風見鶏
00:08:13
(ニナ)左に教会の尖塔
00:08:16
(ディーター)ニナ!
00:08:18
あっ?
00:08:21
(ニナ)はっ…
00:08:24
ああっ…
00:08:42
(ニナ)赤いバラの屋敷
00:08:50
ここなの?
00:08:53
(ニナ)分からない
00:08:55
けど… 私 ここを知ってる
00:08:59
(ドアの閉まる音)
00:09:04
あっ
00:09:12
怖い…
00:09:13
(足音)
00:09:26
何だ? あれ
00:09:29
(ニナ)うっ… ああ…
00:09:32
(ニナの震える声)
00:09:39
壁の中から
ドアが生まれてきたみたいだ
00:09:49
うっ…
00:09:52
はっ
00:09:58
(水滴の落ちる音)
00:10:19
何にもないよ この部屋
00:10:21
(倒れる音)
(ディーター)えっ?
00:10:23
えっ ニナ?
00:10:25
ニナ! ニナ!
00:10:30
(リプスキー)悪魔め 悪魔め
00:10:33
悪魔め 悪魔め!
00:10:43
悪魔は死んだ
00:10:45
悪魔は死んだ
00:10:45
{\an8}(拍手と歓声)
00:10:45
{\an8}(拍手と歓声)
00:10:45
{\an8}(拍手と歓声)
00:10:45
(音楽)
00:11:10
(ノック)
00:11:13
(リプスキー)気分は どう?
00:11:23
(ニナ)おかえりなさい
リプスキーさん
00:11:26
お客さん 集まった?
00:11:27
(リプスキー)いやあ
相変わらず ダメさ
00:11:31
(ニナ)
こんな すてきな人形なのに
00:11:34
(リプスキー)今 作ってるのは
もっと すてきだよ
00:11:42
早く見たいな
00:11:45
完成したら 真っ先に君に見せるよ
00:11:48
もう 仕事に行く時間だ
00:11:51
(ニナ)レストラン?
(リプスキー)ああ
00:11:53
(リプスキー)人形だけじゃ
稼ぎにならないからね
00:11:56
ごめんなさい こんなに長く
お世話になってしまって
00:11:59
いや いいんだ 気にしないで
00:12:04
リプスキーさん
聞きたいことがあるの
00:12:08
(リプスキー)ん… 何だい?
00:12:11
(ニナ)3カ月前
00:12:12
倒れている私を見つけて
病院に運んでくれた時…
00:12:16
ああ
00:12:18
なぜ あなたは あの屋敷にいたの?
00:12:21
(ディーター)ニナ ニナ!
00:12:24
ニナ!
00:12:25
返事をしてよ ニナ ニナ!
00:12:29
あっ
00:12:30
(リプスキー)どうしたんだい?
00:12:36
(リプスキー)あの屋敷に行くとね
創作のイメージが湧くんだ
00:12:42
何ていうか その…
00:12:46
あっ でも 今は あの屋敷よりも…
00:12:51
いや いいんだ
とにかく遠慮しないで
00:12:55
ずっと ここにいていいから
00:13:31
ニナ
00:13:33
(ノック)
(リプスキー)はっ
00:13:36
入ってもいい?
00:13:38
んっ… もちろんだよ
起きて大丈夫なの?
00:13:43
ええ
00:13:44
すごい
この部屋で人形が生まれるのね
00:13:49
(リプスキー)お客さんは
全然 いないんだけどね
00:13:52
どんな話なの?
00:13:56
悪魔の話なんだ
00:13:58
はっ
00:14:01
(リプスキー)どうしたの? ニナ
00:14:03
うん 続けて
00:14:06
この世を滅ぼす竜を探しに
旅に出た悪魔が
00:14:10
途中で死にかけるんだ
00:14:14
けど そこに通りかかった青年が
その命を助けてしまう
00:14:19
ああ…
00:14:20
(リプスキー)助けた相手の
正体を知った青年は
00:14:23
悪魔の後を追う
00:14:26
そして 旅の果てに悪魔を捜し出し
00:14:30
ナイフを手に 悪魔を殺すんだ
00:14:35
面白いと思うんだけど
00:14:37
全然 ウケなくて… ん?
00:14:41
あ… 大丈夫? ニナ
00:14:43
私なら そうすると思う
00:14:45
(リプスキー)んっ?
00:14:48
私なら そうする
00:14:51
でも あの人に
そんなことさせちゃいけない
00:14:55
ニナ?
00:14:57
(ニナ)人間だったら
00:15:00
その悪魔を救うわ
00:15:02
(リプスキー)そうかな…
00:15:05
彼なら この話
気に入ってくれると思うんだけど
00:15:08
(ニナ)彼?
(リプスキー)この本棚…
00:15:12
(リプスキー)全て絵本だよ
00:15:15
ヤコブ・ヤコブファロベック
クラウス・クラウスポッペ エミル・エミルシェーベ
00:15:21
「なまえのないかいぶつ」
00:15:24
よく知ってるね
00:15:28
彼は たくさんの絵本を描いた
00:15:31
ヤコブ・ヤコブファロベック
クラウス・クラウスポッペ エミル・エミルシェーベ
00:15:36
全て同じ人物のペンネームなんだ
00:15:40
フランツ・フランツボナパルタっていう
人物のね
00:15:44
フランツ・フランツボナパルタ
00:15:48
(ボナパルタ)人間はね…
00:15:50
何にだってなれるんだよ
00:15:55
(リプスキー)僕は
優秀な子供じゃなかったから
00:15:58
朗読会から追い出された
00:16:01
朗読会?
00:16:04
彼の朗読会が
赤いバラの屋敷で行われていたんだ
00:16:09
僕は そこの生徒だった
00:16:12
僕には分かったんだ
彼が何をしようとしていたのか
00:16:19
(リプスキー)
“とりひきだ とりひきをしよう”
00:16:22
あくまがいいました
00:16:24
“いやだ ぜったい いやだ”
00:16:26
めのおおきなひとがいいました
00:16:29
“いいよ とりひきしよう”
00:16:31
くちのおおきなひとがいいました
00:16:35
くちのおおきなひとのにわは
はなぞのになりました
00:16:39
めのおおきなひとは
まずしくて まずしくて
00:16:43
おなかがすいて
しかたありません
00:16:46
くちのおおきなひとは
00:16:48
まいにち たのしくてたのしくて
しかたありません
00:16:51
みのったくだもので
おなかがいっぱい
00:16:54
だから きづきませんでした
00:16:57
はなぞのが かれていることに
00:17:00
にどと はなのさくことのない
おにわで
00:17:03
くちのおおきなひとは おいおいと
なきながら つぶやきました
00:17:09
“あくまと とりひきなんか
しなければよかった”
00:17:13
めのおおきなひとは
00:17:15
おなかがすいて すいて
しにそうです
00:17:18
ぼろぼろ なみだをこぼしながら
つぶやきました
00:17:22
“あくまと とりひきすれば
よかった”
00:17:26
“とりひきだ とりひきしよう”
00:17:29
あくまがいいました
00:17:34
(リプスキー)
ヤコブ・ヤコブファロベック作
00:17:36
「めのおおきなひと
くちのおおきなひと」
00:17:41
僕らは金曜日の午後3時になると
朗読会に集まった
00:17:47
僕らは彼の周りに座り
彼の朗読に耳を傾ける
00:17:53
優しい声で…
とても穏やかな優しい声で
00:17:59
そして 1つ 話を読み終えると
彼は僕らに こう尋ねるんだ
00:18:07
“この話の意味…”
00:18:10
(ボナパルタ)分かるね?
00:18:14
わ… 分かるわ
00:18:16
(リプスキー)僕も
何度も読んで 分かったよ
00:18:20
すると 彼は次の絵本を手に取り…
00:18:24
クラウス・クラウスポッペ作
「へいわのかみさま」
00:18:29
じゃあ 次は これを読んでみよう
00:18:32
(足音)
00:18:40
(ヨハン)
まるで 初めて来たみたいだ
00:18:44
随分 時間が かかったけど
00:18:49
全ての記憶が つながった
00:18:58
(リプスキー)
へいわのかみさまは おおいそがし
00:19:01
かがみをみるひまもなく
まいにち らっぱをふきます
00:19:05
へいわのかみさまの らっぱは
みんなを しあわせにします
00:19:10
へいわのかみさまは おおいそがし
00:19:12
かがみをみるひまもなく
ふしぎなみずをまきます
00:19:17
ふしぎなみずは
みどりのやまをつくり
00:19:20
はたけをみのらせ
おはなばたけをつくります
00:19:24
へいわのかみさまは おおいそがし
00:19:27
かがみをみるひまもなく
みんなに なまえをつけます
00:19:32
きみのなまえは オットー
00:19:34
きみのなまえは ハンス
00:19:36
きみのなまえは トマス
00:19:39
きみのなまえは ヨハン
00:19:43
ヨハンは おれいに
ぼうしをかみさまにあげました
00:19:48
かみさまは おおよろこび
00:19:51
そのぼうしをかぶった
じぶんが みたくて
00:19:54
はじめて かがみのまえに
たちました
00:19:57
でも…
00:19:59
かがみにうつったのは
あくまだったのです
00:20:03
あくまがいいました
00:20:05
きみは ぼく ぼくは きみ
00:20:09
どうしよう このあくまがいたら
みんなが へいわにくらせない
00:20:14
どうしよう どうしよう
00:20:17
こまったかみさまは…
00:20:21
(リプスキー)どうしたか分かる?
00:20:24
僕は分かったよ
00:20:26
君は分かる?
この後 神様がどうしたか
00:20:34
分かるわ
00:20:38
(ヨハン)やっと会えたね
00:20:41
(ヨハン)ただいま
00:20:43
おかえり
00:20:46
僕だよ 母さん
00:20:50
母さんでも
見分けがつかなかったろ?
00:20:54
あの子は僕で 僕はあの子
君は僕で 僕は君
00:21:00
全てが分かったよ
00:21:02
僕らが どこから来て
どこへ行くのか
00:21:09
外は いい天気ですよ 母さん
00:21:27
全てを炎の中に
00:21:48
はっ
00:21:52
分かるわ 神様は…
00:22:12
眉間に… 銃口を向けるの
00:22:12
眉間に… 銃口を向けるの
00:22:12
{\an8}(雨音)
00:22:25
(ヨハン)僕を撃てよ
00:22:29
{\an8}♪~
00:23:33
{\an8}~♪