00:00:02
(セールスマン)いやいや お客様
00:00:04
すばらしい物件に
目を付けられましたね
00:00:07
何しろ ここは
ベルリンの中心から車で20分
00:00:11
交通の便も良く
環境もいいですからね
00:00:16
旧東側の物件で これだけの出物は
なかなか ございません
00:00:21
(テンマ)あの… ここは
旧東ドイツで貿易局顧問だった⸺
00:00:25
リーベルト氏の
元の住まいだと思うんですが
00:00:28
はあ?
00:00:31
えっ リーベルト氏のことを
調べに来ただけ?
00:00:35
何だ 客じゃないのかよ
00:00:38
(テンマ)すみません どうしても
知りたいことがあったもので
00:00:42
10年前に亡命した
役人のことなんか 知らないよ
00:00:46
(テンマ)リーベルト夫妻は
こちらにいる時
00:00:49
双子のきょうだいを
引き取ったはずなんです
00:00:51
知らないって言ってるでしょ
00:00:54
(テンマ)このうちの地主さんは?
紹介してもらえませんか
00:00:57
あのね
旧東ドイツの土地は ほとんど
00:01:00
ナチ時代に逃げ出した
ユダヤ人資産家のものなんだ
00:01:05
東の政府は
外国や西側にいる資産家に
00:01:08
金を払って土地を借りてたわけ
00:01:10
ここの地主も外国にいるの
00:01:13
それに我が社は
壁の崩壊後に進出した⸺
00:01:16
西側の不動産会社ですからね
00:01:18
古い話は何にも知らないの
00:01:21
さあ 門の鍵 閉めますから
出てください
00:01:25
(テンマ)誰か 10年前のこと…
00:01:27
リーベルトさんを覚えてる人は
いませんか?
00:01:29
(セールスマン)
さっきも言ったけど ここらは
00:01:31
元政府高官の住宅地だからね
00:01:34
壁が壊れたら 大体が
散り散りに逃げ出しちまって
00:01:38
特に内務省の役人なんか
やばくって…
00:01:42
(セールスマン)あっ そういえば
(テンマ)うん?
00:01:45
10軒ほど先に 旧東ドイツ商務省の
元役人が住んでるな
00:01:52
(元役人)ああ リーベルトさんね
00:01:54
危ない橋 渡って
亡命なんかしなくても
00:01:57
もう少し待てば
東ドイツは自滅したのにね
00:02:02
何のために自由の国に行ったんだか
分からないよね
00:02:06
しかも 殺されて…
00:02:08
(テンマ)リーベルトさんには
00:02:09
双子のきょうだいの子供が
いませんでしたか?
00:02:11
(元役人)
双子のきょうだい? うーん…
00:02:16
おお 思い出した
00:02:18
リーベルトさんが
孤児院から引き取った あの双子
00:02:21
(テンマ)孤児院?
00:02:23
かわいい子たちだったよね
00:02:25
リーベルトさん
ずっと 子供 欲しがってたしね
00:02:28
そ… その孤児院は?
00:02:31
(元役人)えーと 確か…
00:02:32
うーん… 511…
00:02:36
ああ そうだ
511キンダーハイムだと思うな
00:02:40
511… キンダーハイム
00:03:43
♪~
00:04:59
~♪
00:05:11
(鐘の音)
00:05:24
(老人)もうすぐ
この孤児院の跡地も
00:05:26
スーパーマーケットになるらしいよ
00:05:30
やっと 気味悪い建物が
取り壊されて 清々するよ
00:05:35
(テンマ)あ…
00:05:37
あの ちょっと… この孤児院の
関係者の方 知りませんか?
00:05:43
(老人)関係者?
そんなもの 残ってるわけないだろ
00:05:47
(テンマ)うん?
00:05:48
このことは話したくないね
ああ 薄気味悪い
00:05:52
(テンマ)あ… あの…
00:05:54
(老人)どうしても
話を聞きたいっていうんなら
00:05:57
47番地に元厚生省の
ハルトマンって男がいるよ
00:06:21
(テンマ)ああ ボク
00:06:23
この辺にハルトマンさんって人
住んでないかな?
00:06:29
どうした? ケガしてるじゃないか
00:06:32
見せてごらん
00:06:35
大丈夫だよ
怖くないんだから 見せてごらん
00:06:40
(テンマ)治りかけた傷の上から
00:06:41
またケガをしたな 化膿しかけてる
00:06:44
(ディーター)ううっ
(テンマ)我慢しろ
00:06:46
(テンマ)ちょっと しみるが
これで良くなる
00:06:52
よし オーケー
00:07:00
あっ
00:07:02
転ぶなよ
00:07:04
また ケガするぞ
00:07:10
“ハルトマン”
00:07:13
(ブザー)
00:07:31
(ハルトマン)その子たちは
皆 東ドイツ崩壊後
00:07:35
私が里親として
引き取っていたんです
00:07:37
里親?
00:07:38
(ハルトマン)ええ 養子縁組や
身の振り方が決まるまで
00:07:42
私が預かっていた子たちでね
00:07:46
真ん中の子は 服飾メーカーの
社長の養子として迎えられました
00:07:50
左端の子は 今 軍隊に入ってます
00:07:54
今も1人 預かってるんですよ
00:07:57
大変なお仕事ですね
00:07:59
仕事というか 何というか
00:08:03
長年 厚生省の地区担当官として
孤児関係の仕事をしてまして
00:08:08
当時から 政府のやり方には
反対でしたからね
00:08:14
社会主義が崩壊してから
00:08:16
私なりのやり方で
子供たちの力になれないものかと
00:08:21
まあ 貧乏なんで
思ったとおりにはいきませんが
00:08:24
しかし 彼らも 以前の孤児院に
いるよりは ずっと ましです
00:08:30
511キンダーハイムは
00:08:32
厚生省と内務省との
共同管轄の特別孤児院でした
00:08:38
まあ 旧東ドイツの孤児院は
00:08:41
多かれ少なかれ
あんなもんでしたが
00:08:44
その中でも
特別孤児院は ひどかった
00:08:48
単に身寄りのない子供たちの
施設ではありません
00:08:52
刑事犯の子供と
亡命して捕らえられた政治犯の子供
00:08:57
親が内乱罪やスパイ罪に問われた
子供たちの集まりだったんです
00:09:03
だから 差別も非人間的な扱いも
当然でした
00:09:08
子供たちは何をされても
仕方ない立場だった
00:09:14
あそこは社会主義
00:09:15
全体主義の
矛盾そのものだったのです
00:09:19
政府は スローガンでは 孤児たちを
00:09:22
社会主義の模範になるよう
再教育すると言いながら
00:09:25
実際には犯罪者扱い
00:09:28
おまけに院長や教官は最悪
00:09:32
特に ひどいやつは
00:09:34
子供に届く小包も没収して
転売までしてしまう
00:09:37
まったく どっちが犯罪者なんだか
00:09:41
特別孤児院を支配していたのは
恐怖と暴力だったんです
00:09:46
あそこでは
とても まともな人間は育たない
00:09:51
そして あの事件が起きた
00:09:54
(テンマ)事件?
その孤児院で何が起きたんです?
00:09:57
(ハルトマン)
あなた あの双子のことを
00:09:59
私に聞きたいと
おっしゃいましたね
00:10:02
(テンマ)
何か ご存じなんですね?
00:10:04
2人のことを
00:10:05
(ハルトマン)妹のほうは
別の地区の孤児院に
00:10:07
預けられましたから
よくは知りません
00:10:10
しかし 兄のヨハンのことは
よく知っています
00:10:14
ヨハン… そうです
ヨハンのことが聞きたいんです
00:10:19
うん?
00:10:24
あ… あれは…
あれは最高機密でした
00:10:28
東ドイツ政府は
徹底した箝口令(かんこうれい)を敷いたんです
00:10:33
まあ… まあ 今となっては
過ぎ去ったことだし
00:10:38
事件について話しても
構わんと思うが…
00:10:40
何ですか? 事件って
00:10:42
ヨハンが…
ヨハンが何をしたんです?
00:10:50
革命ですよ
00:10:55
あっ
00:10:57
(ディーター)ただいま
00:10:59
ディーター お客様だ
ちゃんと ご挨拶しなさい
00:11:03
(テンマ)あっ
(ハルトマン)ディーター
00:11:05
何だ? その態度は
ちゃんと ご挨拶しないか
00:11:09
(テンマ)い… いや もう さっき
家の前で会ってるんです
00:11:13
なっ?
00:11:16
ああ それで
今の話の続きなんですが…
00:11:20
いや 子供の前では
勘弁してください
00:11:23
ああ… そうですね
00:11:25
もう こんな時間ですので
また改めて
00:11:29
うん?
00:11:30
(ハルトマン)ディーター
00:11:35
ご一緒に食事でもいかがですか?
00:11:37
あ… はあ
00:11:47
テンマさん フリーランスの
ジャーナリストということは
00:11:51
こうやって調べたことを
記事にされるわけですね
00:11:54
えっ… ええ まあ
00:11:56
(ハルトマン)
それじゃあ この点だけは
00:11:58
しっかり書いておいてほしいですね
00:12:01
子供の成長は全て
育てる大人に懸かっている
00:12:06
我々が 子供を正しい方向へ
導かなければならない
00:12:12
そうして初めて 子供は
すばらしい夢を見ることができる
00:12:16
夢か
00:12:19
ディーターは
どんな夢を持ってる?
00:12:23
サッカーボール…
00:12:24
えっ?
00:12:26
サッカーボールが欲しい
00:12:28
(テンマ)そうか
00:12:32
(テンマ)ごちそうさまでした
もう一度 ぜひ お話の続きを
00:12:36
(ハルトマン)いや 話が話だけに
中断してしまって…
00:12:42
また伺います
明日にでも連絡します
00:12:56
(ハルトマン)ディーター
00:13:28
(テンマ)うん?
00:13:30
あの… すみません
00:13:33
ちょっと いいですか?
00:13:44
(テンマ)ハルトマンさん
テンマです ハルトマンさん
00:13:49
(ディーター)うわああー!
(テンマ)あっ
00:13:51
(テンマ)ハルトマンさん
ハルトマンさん!
00:13:53
どうしたんですか
ハルトマンさん!
00:13:57
ハルトマンさん… あっ
00:13:58
テ… テンマさん
00:14:00
うぐぐっ…
00:14:03
ディーター
00:14:05
(テンマ)どうしたんですか?
(ハルトマン)落ちたんです
00:14:08
椅子の上に乗っていて…
ああ ディーター
00:14:12
痛い! 痛い 痛いよ
00:14:15
(テンマ)どこが痛いんだ?
ディーター
00:14:16
痛いよ!
00:14:18
ハルトマンさん 救急車を
00:14:20
(ハルトマン)あ… ああ
00:14:23
(テンマ)ディーター
見せてごらん
00:14:25
はっ
00:14:28
何なんだ?
この たくさんの傷痕は
00:14:32
(テンマ)ここかい?
(ディーター)うっ
00:14:34
くっ… うわああー!
(テンマ)ここが痛むのかい?
00:14:36
肋骨(ろっこつ)が2本 折れてる
00:14:38
それに… 左肩を脱臼している
00:14:42
椅子から落ちただけで
どうやって こんなケガを…
00:14:45
(ハルトマン)救急車は
じきに来るそうです
00:14:48
だから もう大丈夫です
00:14:50
(テンマ)あ… はあ
00:14:51
しかし この傷は 一体…
00:14:53
大丈夫と言ったでしょう
00:14:55
だから もう お引き取りを
00:14:57
(テンマ)しかし…
00:14:58
それより あなた
その傷の触り方
00:15:01
まるで医者みたいですね
00:15:03
あっ いや…
00:15:06
(ハルトマン)テンマ… どこかで
聞いたことのある名だと思った
00:15:10
あなた 医者ですね?
00:15:13
あの人殺しで手配中の
00:15:17
この傷は… この体中の傷は
一体 どうしたんですか?
00:15:22
(ハルトマン)
そんなことより テンマさん
00:15:24
逃げたほうがいいんじゃないですか
00:15:27
救急車と一緒に
警察も呼びましたよ
00:15:31
ハルトマンさん
ディーターの この傷は
00:15:33
どうして付いたのかと
聞いているんです!
00:15:35
関係ないでしょう
00:15:37
あなたのような
人殺しで追われている人間には
00:15:44
さすが逃亡犯だ
気が短いようですね
00:15:48
(テンマ)あなたがやったんですね
00:15:50
やった? 何を?
00:15:52
あなたは このディーターに
虐待を加えている
00:15:56
(ハルトマン)虐待?
00:15:57
人聞きの悪いことを
言わないでほしいな
00:16:00
なあ? ディーター
00:16:02
うっ うう…
00:16:06
どうするつもりだ
00:16:08
この子を病院へ連れてきます
00:16:10
殺人の次は誘拐か
00:16:14
動くな!
00:16:15
(ハルトマン)そんなことをしても
すぐに捕まるぞ
00:16:23
(テンマ)ハァ ハァ…
00:16:25
大丈夫 ディーター
すぐ病院に連れてってやる
00:16:28
うう… 病院 怖い…
00:16:31
(テンマ)怖くなんかないさ
00:16:32
お医者さんが
ちゃんと治してくれるさ
00:16:35
(ディーター)痛いの… いつも…
ハルトマンさんが治してくれる
00:16:40
(テンマの荒い息)
00:16:46
体中 ケガしてるのに
病院に行ったことがないのか?
00:16:51
怖い… 今の世の中は
悪いことでいっぱいなんだ
00:16:56
だから 僕は
強くならなくちゃいけないんだ
00:17:01
強く…
00:17:02
ハルトマンさんが
そう言ったのか?
00:17:04
世界は真っ暗だ…
あしたは真っ黒だ
00:17:13
(テンマ)そんなことはない
00:17:14
んっ…
00:17:15
世界が真っ暗だなんて 大ウソだ
00:17:18
ホント?
00:17:20
ああ ホントだ
00:17:21
あっ 忘れてた
00:17:24
ほら サッカーボール
00:17:25
わあっ
00:17:28
(テンマ)あしたは
きっと いい日だ
00:17:37
(テンマ)すみません
こんな時間に無理 言って
00:17:39
(看護師)あっ いえ
でもね 今 急患で立て込んでて
00:17:43
治療まで かなり
時間が かかりますよ
00:17:45
しかし そこを何とか
00:17:47
(看護師)でも
とても大きな事故があって…
00:17:48
(看護師)でも
とても大きな事故があって…
00:17:48
{\an8}(警官)バスの運転手は
即死だったんです
00:17:50
トラックの運転手に
ぜひ 事故の状況を
00:17:53
聞きたいんですがね
00:17:54
(警官)両足骨折なら
しゃべれるでしょ?
00:17:57
(医師)まず治療が先です
取り調べは 後にしてください
00:18:02
{\an8}(警官)じゃあ
とりあえず ここで⸺
00:18:03
{\an8}待たせてもらいますよ
00:18:03
あ… あの…
2時間ほどで戻ります
00:18:05
あ… あの…
2時間ほどで戻ります
00:18:08
(看護師)えっ?
00:18:09
あの子のこと
よろしくお願いします
00:18:11
(看護師)あっ
00:18:13
それから 私以外の人間が
あの子を迎えに来ても
00:18:17
絶対に引き渡さないでください
00:18:19
お願いします
00:18:20
(看護師)あ… あの!
00:18:22
(警官)事故現場は片付いたのか?
00:18:24
(警官)いえ まだ大渋滞です
00:18:28
(テンマ)さあ
これから どうする?
00:18:31
まずは
ディーターの身の振り方だが
00:18:34
警察へ行かせるにしても
私は ついていけないし…
00:18:39
(テンマ)あ…
00:18:41
(ハルトマン)ヨハンの妹のほうは
00:18:43
別の孤児院に預けられましたから
よくは知りません
00:18:48
別の孤児院…
00:18:51
それだ
00:19:00
(エルナ)引き取ってほしい
子供がいるだって?
00:19:03
{\an8}(赤ん坊の泣き声)
00:19:04
{\an8}(赤ん坊の泣き声)
00:19:04
(エルナ)
で 何なんだい? あんたは
00:19:06
{\an8}(赤ん坊の泣き声)
00:19:06
{\an8}(赤ん坊の泣き声)
00:19:06
こんな時間に
いきなり やってきて
00:19:08
(テンマ)無理なお願いなのは
よく分かってます
00:19:11
でも その子は…
00:19:13
(エルナ)その子が幼児虐待を
受けているのは分かったよ
00:19:16
でも あんたが誰だか分からなきゃ
00:19:19
あの… それは…
00:19:21
(エルナ)そんな
訳の分からない人間から
00:19:23
気軽に 子供を
引き受けるわけにはいかないね
00:19:26
(テンマ)あ… あの…
もしかして こちらは
00:19:29
アンナ・アンナリーベルトが
お世話になっていた孤児院では?
00:19:32
アンナ・アンナリーベルト?
00:19:34
あんた
アンナ・アンナリーベルトを知ってるの?
00:19:38
や… やはり
アンナは ここにいたんですね
00:19:40
ああ 懐かしいね
00:19:43
アンナは 今 どうしてる?
元気にしてるの?
00:19:46
えっ… ええ
00:19:48
今 ハイデルベルク大学に
通っていて…
00:19:51
そうかい 幸せになったんだね
00:19:54
いい子だったよ アンナは
00:19:56
貿易局のリーベルトさんに
引き取られるまでは
00:19:58
知っているんだけど…
双子の男の子と一緒にね
00:20:02
ええっと 何ていったっけ…
00:20:05
(テンマ)ヨハンです
00:20:06
そう ヨハン ヨハン
00:20:08
とっても
仲のいいきょうだいだったけど
00:20:10
2人は別々の孤児院に入れられて
かわいそうだった
00:20:15
あの子たち ここに来る前は
本当に2人っきりだったんだからね
00:20:22
チェコスロバキアの国境線辺りで
保護された時も⸺
00:20:26
手をつないで歩いてたそうよ
2人 寒さで震えながら
00:20:32
リーベルト氏が引き取る話も
00:20:34
最初は ヨハン1人って
ことだったんだけど
00:20:37
妹も一緒じゃなきゃ嫌だって
00:20:40
おかげで
アンナは幸せになったんだね
00:20:44
当時の東側の孤児院は
ひどい状況だったと聞いていますが
00:20:49
(エルナ)511キンダーハイムと
一緒にしないでほしいね
00:20:52
えっ?
00:20:56
(ドアの開く音)
00:20:59
(インゲ)ん…
00:21:03
あ…
00:21:05
(エルナ)インゲ
トイレは そっちじゃないでしょ
00:21:08
ねっ ほら
00:21:10
(インゲ)うっ うう…
00:21:13
ママ!
00:21:14
ママ!
00:21:14
{\an8}(インゲの泣き声)
00:21:14
{\an8}(インゲの泣き声)
00:21:14
{\an8}(インゲの泣き声)
00:21:14
大丈夫 大丈夫
怖いことなんて何にもないよ
00:21:19
さあ 1人で
トイレに行けるでしょ?
00:21:22
(インゲのすすり泣き)
00:21:29
(エルナ)あの子たちは 本当の
親の愛情というものを知らない
00:21:34
人間として成長していくには
愛情しかないのよ
00:21:38
あんたの言ったとおり
当時の東側の孤児院は
00:21:40
そりゃあ ひどいものだったわ
00:21:43
ここもね 元は47孤児院なんて
数字で呼ばれる場所だった
00:21:48
でも 私たちは それでも
何とかしようと 必死にやってきた
00:21:52
少しでも
政府の言いなりにならないように
00:21:54
511キンダーハイムのように
ならないようにね
00:22:00
あそこは厚生省と内務省
共同管轄の特別孤児院だったけど
00:22:05
その意味が分かる?
00:22:07
(テンマ)いえ
00:22:08
内情はね
内務省によって管理されてたのよ
00:22:13
だって あそこは旧東ドイツの…
00:22:16
実験場だったんだから
00:22:28
{\an8}♪~
00:23:33
{\an8}~♪