00:00:02
(リポーター)ミュンヘン大学
フリードリッヒ・フリードリッヒエマヌエル校
00:00:05
図書館火災の被害者は
死者5名 重軽傷者34名にのぼり
00:00:11
現在も行方不明者の捜索が
懸命に続けられています
00:00:15
救出された人々のインタビューが
とれましたので ご覧ください
00:00:20
(男性)も… もう 何が何だか
分からないうちに 火の海で…
00:00:24
(女性)煙に巻かれて
息ができなくなった時は
00:00:27
もう おしまいかと…
00:00:28
(男性)
助けてくれた人がいるんです
00:00:31
ええ 東洋人です
00:00:33
あの人は無事ですか?
00:00:35
銃で ちょうつがいを撃って
ドアを開けてくれたんです
00:00:38
あの人がいなかったら
もっと大勢の人が死んでいた
00:00:47
(リポーター)
警察当局は この火災を
00:00:49
石油とガソリンによる放火と断定し
00:00:52
一刻も早い 犯人の割り出しに
全力を挙げていると発表しています
00:00:59
♪~
00:02:14
~♪
00:02:32
(カウフマン)
見事に焼けたもんですね
00:02:34
人類の英知だの
資産だのと言っても⸺
00:02:37
燃えてしまえば 書物は
おしまいだもんなあ
00:02:42
(ルンゲ)
発見された狙撃銃から指紋は?
00:02:44
(カウフマン)
焼け残った銃ですから
00:02:46
指紋は出るかどうか…
00:02:48
銃の種類は 間違いなく
00:02:50
Dr.(ドクター)テンマと思われる
日本人が購入した⸺
00:02:53
モーゼルSR93なんですがね
00:02:56
しかし こう焼けてしまっては
00:02:58
犯人の痕跡を見つけ出すのも
難しいですね
00:03:02
(ルンゲ)痕跡のない現場などない
00:03:04
は?
00:03:07
(ルンゲ)
カフスボタンが落ちていた
00:03:09
鑑識に回せ
00:03:10
あっ ああ…
00:03:12
(ルンゲ)ある場所に誰かがいた
00:03:14
痕跡を残さずに
00:03:16
そこから立ち去ることができる
人間などいない
00:03:19
そんなことができるとしたら
そいつは人間じゃない
00:03:23
じゃあ もし万が一
何の痕跡もなかったとしたら
00:03:27
そいつは…
00:03:29
悪魔だ
00:03:31
えっ あ…
00:03:33
(ルンゲ)
この世に そんなものはいない
00:03:35
だから 我々に
逮捕できない犯人などいない
00:03:41
シューバルトには面会できるか?
00:03:43
(カウフマン)あ…
今は集中治療室にいます
00:03:45
やけどは そんなに
ひどくないらしいのですが
00:03:49
何しろ あの年齢ですし
一応 面会謝絶ということで…
00:03:53
(ルンゲ)行くぞ
(カウフマン)えっ?
00:03:56
(医師)いや 困ります
面会は許可できません
00:04:00
(ルンゲ)意識はあるんでしょ?
ほんの数分で引き揚げますよ
00:04:04
(医師)シューバルト氏は
非常なショック状態にあります
00:04:07
しばらくは絶対安静です
00:04:10
あの人は?
00:04:11
(医師)ああ…
シューバルトさんの息子さんです
00:04:16
この度は お父様が大変なことで
00:04:20
私は ドイツ連邦捜査局の
ルンゲと申します
00:04:23
(カール)あの… さっきも
警察の人にお願いしたんですが
00:04:27
捜してほしい人間が…
00:04:34
誰ですか?
00:04:35
あなたのお父様を
暗殺しようとした人間です
00:04:40
えっ?
00:04:42
本当にご存じない?
00:04:44
僕は知りません
もしかしたら 彼なら…
00:04:48
彼?
00:04:49
そうです
それを言いたかったんです
00:04:51
彼を捜してください
ヨハン・ヨハンリーベルトを
00:04:55
ヨハン・ヨハンリーベルト…
00:04:58
ヨハンも父と一緒に
00:05:00
図書館のセレモニーに
出席していたはずなんです
00:05:03
でも どこを捜しても
行方が分からなくて…
00:05:06
(ルーディ)ヨハン
00:05:08
(テンマ)ヨハン・ヨハンリーベルト
00:05:13
分かりました
早速 手配しましょう
00:05:18
(カウフマン)ここが ヨハン・ヨハン
リーベルトが借りていた部屋です
00:05:25
もう 2週間ほど前に
引き払ってますけど…
00:05:47
法学部の学籍には
彼の名前はありませんでした
00:05:51
偽学生ですね
00:05:54
(ルンゲ)オッフェンバッハに
住んでるという両親に連絡は?
00:05:57
(カウフマン)はあ
そっちも もぬけの殻でした
00:06:00
ほとんど近所付き合いも
なかったようで
00:06:04
一応 この部屋の指紋
採取しときますか?
00:06:07
(ルンゲ)恐らく何も出ないだろう
(カウフマン)は?
00:06:12
(ルンゲ)入力データなし
00:06:17
初めて見たよ
00:06:20
これほど
人が存在した痕跡のない部屋はね
00:06:23
はあ…
00:06:26
(ルンゲ)私はヨハン…
00:06:29
私はヨハン・ヨハンリーベルト
00:06:32
私は誰だ?
00:06:34
私は ここにいた
00:06:37
だが 存在しない
00:06:47
(ルンゲ)悪魔か…
00:06:51
フッ
00:06:52
フフフフ… フフフ…
00:06:59
(ロッテ)よかったね ニナ
軽いケガで
00:07:01
(ニナ)
心配かけてごめんね ロッテ
00:07:04
(ロッテ)
そうよ ホント心配したんだから
00:07:08
次々と みんな救出されてくるのに
あなたの姿がなくって
00:07:12
どうなるかと思った
00:07:15
でも あの火災の中から そのケガで
よく1人で出てこられたね
00:07:20
消防の人も びっくりしてた
00:07:24
助けてもらったから
00:07:26
助けてもらった?
00:07:28
あなた 最後に
あの中から出てきたのよ
00:07:32
日本人…
00:07:34
(ロッテ)え?
00:07:36
(ニナ)どこかの病院に
日本人の医者が収容されてない?
00:07:40
(ロッテ)日本人は何人かいたけど
00:07:42
確か みんな企業の人で…
00:07:45
(ニナ)そんなはずない
(ロッテ)え?
00:07:49
だって あの人は
どん帳の下敷きになった私を…
00:07:59
(テンマ)んっ
00:08:02
(テンマ)ニナ…
00:08:03
ニナ… ニナ…
00:08:11
あの人は確かに
00:08:14
あそこにいた
00:08:18
(ルンゲ)
あなたは 火災が起きる直前
00:08:21
セレモニーの出席者に向かって
00:08:23
ただちに避難するよう
呼びかけたそうですね
00:08:26
なぜ そんなことを
なさったんですか?
00:08:30
あなたは前もって
何かを感知していた
00:08:33
違いますか? シューバルトさん
00:08:36
あの そろそろこの辺で…
00:08:38
それと この男
ご存じありませんか?
00:08:44
このぐらい近付ければ
見えますか?
00:08:48
あなたを暗殺しようとした男です
00:08:51
確かに図書館にいたという
目撃者がいるんです
00:08:55
目撃者の証言によると この男
00:08:58
人命救助をしていたと
いうんですがね
00:09:03
もういいでしょう?
終わりにしてください
00:09:08
何か思い出したら
すぐに連絡ください
00:09:17
あと1つ
00:09:19
あなたの秘書の
ヨハン・ヨハンリーベルトの行方を
00:09:22
ご存じありませんか?
00:09:24
あ…
00:09:29
あ…
00:09:40
もう お引き取りください!
00:09:44
(カウフマン)
完全にボケちまったようですね
00:09:47
まあ あの年で
あんな恐ろしい目に遭えば
00:09:50
無理ありませんけどね
00:09:53
バイエルンの吸血鬼と言われた
財界の帝王も ここまでですね
00:09:58
(ルンゲ)いや…
(カウフマン)は?
00:10:01
(ルンゲ)あれは
全てを認識している目だよ
00:10:03
(カウフマン)はあ…
00:10:05
(ルンゲ)
他の目撃者を当たってみよう
00:10:07
被害者の名簿はあるか?
00:10:09
(カウフマン)あっ はい
00:10:11
だけど
どういうことなんでしょうね
00:10:14
テンマらしき人物が
人命救助をしていたという証言…
00:10:19
やはり これも
多重人格ってやつですかね?
00:10:24
あっ あ…
00:10:27
(ルンゲ)“ニナ”
00:10:28
“ニナ・ニナフォルトナー”
00:10:31
その名前に何か? あっ
00:10:45
(看護師)
ニナ・ニナフォルトナーさんなら⸺
00:10:46
今朝 退院されましたけど
00:10:49
警察の名簿に記入された住所は
架空のものでした
00:10:53
病院のほうは?
00:10:55
(看護師)
あっ はい 調べてみます
00:10:58
(ルンゲ)ニナ・ニナフォルトナー
00:11:00
ハイデルベルクで殺害された
フォルトナー家の娘の名前
00:11:05
現在 行方不明
00:11:09
(ライヒワイン)
つらい話をよくしてくれたね
00:11:13
テンマから聞いた
ここ10年間に及ぶ物語と
00:11:17
完全に合致する
00:11:19
テンマ?
00:11:20
そう 彼は一連の事件を追って
ここに現れた
00:11:24
そして すぐに立ち去った
00:11:26
ヨハンを暗殺するためにね
00:11:32
あの日 あの図書館で
00:11:34
テンマは 暗殺計画を
実行に移すのではと思い
00:11:38
私は駆け付けた
00:11:40
ところが あの大火災
00:11:42
ヨハンは元より
テンマに至っては
00:11:44
あの時 あそこにいたかどうかさえ
分からない
00:11:50
いいかい? ニナ
00:11:51
もう ヨハンを追うなんてことは
やめるんだ
00:11:54
君の手に負える相手じゃない
00:11:57
確かに警察は協力的じゃない
00:12:00
ここは ひとつ 腰を据えて
じっくり戦おう
00:12:04
真実は いつか証明される
00:12:07
大丈夫だ 私たちがついてる
00:12:11
疲れてるだろう?
00:12:12
しばらく うちで
ゆっくりするといい
00:12:15
(ニナ)あの時 いたんです
(ライヒワイン)えっ?
00:12:18
(ニナ)あの時 あの人は
確かに あの図書館にいたんです
00:12:24
テンマは確かにいたんです
00:12:41
(ディーター)何か食べなきゃ
00:12:44
(ニナ)ありがとう ディーター
00:12:48
(ディーター)
パンはカイザーゼンメル
00:12:51
ロースハムとゴーダチーズを
挟んだの
00:12:54
テンマの大好物
00:12:58
いただきます
00:13:02
おいしい
00:13:03
ホント?
00:13:04
うん おいしいもの食べると
元気になる
00:13:09
テンマも いつも そう言ってた
00:13:18
(ニナ)会いたいね
00:13:23
テンマに会いたいね
00:13:27
うん
00:13:34
そろそろ いい季節になりますね
00:13:37
そうだ 体がよくなったら
旅行でもどうですか?
00:13:41
アジアのほうなんか どうです?
00:13:43
気分転換になると思いますよ
00:13:47
これからは もう少し
ゆったりとしてください
00:13:51
父さん もう十分
戦ってきましたよ
00:13:57
ん…
00:13:59
(シューバルト)橋…
00:14:00
えっ?
00:14:02
3匹の…
00:14:04
何ですか?
何が言いたいんですか?
00:14:08
(シューバルト)3匹の… カエル
00:14:11
えっ?
00:14:12
彼の目…
00:14:14
目?
00:14:16
(シューバルト)
彼の目の中に 地獄があった
00:14:20
生きている人間の目の中に
地獄があった
00:14:28
カール
00:14:29
はい
00:14:30
ある男に伝えてほしいことがある
00:14:34
あっ は… はい
00:14:36
ドレスデンだ
ある男が待っている
00:14:40
ドレスデン?
何を伝えればいいんですか?
00:14:44
(シューバルトのささやく声)
00:14:46
(カール)はい
00:14:48
そ… その男にドレスデンに行って
伝えればいいんですね?
00:14:52
今… 今すぐですか?
00:14:57
分かりました
すぐに行ってきます
00:15:01
あっ
00:15:03
カール
00:15:05
母さんは…
母さんは私を恨んでいただろ?
00:15:11
いいえ
恨んでなんかいませんでした
00:15:17
カール
00:15:18
ドレスデンから帰ってきたら
00:15:21
私と ずっと一緒にいてくれるか?
00:15:27
はい
00:15:32
(ニナ)怖い…
00:15:34
(ルーディ)怖い? 何が?
00:15:36
(ニナ)よく分からないけど
とっても怖い
00:15:41
思い出すんだ 焦らなくていい
00:15:44
ゆっくりと…
00:15:45
おとぎの国のような街…
00:15:48
(ルーディ)おとぎの国?
00:15:49
どこだい? それは
00:15:52
君が この絵本を見た時に
感じたもの
00:15:55
何でもいい 頭に浮かんだものを
言ってごらん
00:16:01
(ニナ)あ… ああ…
00:16:05
うう…
00:16:08
あっ うっ
00:16:10
Dr.ギーレン
00:16:12
いや もう少し…
00:16:13
もう やめて!
00:16:16
3匹…
00:16:17
えっ?
00:16:21
3匹のカエル
00:16:22
3匹の…
00:16:24
カエル?
00:16:26
何だ? それは
00:16:29
絵…
00:16:30
絵? このヨハンが読んで
気を失ったという絵本の中に?
00:16:35
その絵本の中には
3匹のカエルなんて
00:16:38
どこにも出てこないわ
00:16:39
どこで それを見たんだ?
00:16:42
あ… ううっ
00:16:47
もういい
今日はこれくらいにしよう
00:16:51
(ルーディ)はい
00:17:09
(ルーディ)あのルンゲという
連邦捜査局の刑事に頼ったのが
00:17:12
間違いでした
00:17:14
(ライヒワイン)ああ 私も
作戦を変えたほうがいいと思う
00:17:19
(ルーディ)
今度 警察に証拠を持ち込む時は
00:17:21
上層部に直接 交渉しなければ
00:17:24
それも 時間をかけて
徹底的に裏付け調査した資料を
00:17:28
たたきつけてね
00:17:30
(ニナ)時間をかけてって
どれくらいですか?
00:17:33
今は あまりにもヨハンの情報が
あいまいだし 少なすぎる
00:17:38
ヨハンが秘書を務めていた
シューバルト
00:17:41
彼が何か情報を持ってると思うが
00:17:44
シューバルトは まだ面会謝絶…
息子のカールは?
00:17:48
それが 2日前から
どこかに出かけていて
00:17:52
連絡が取れません
00:17:54
(ライヒワイン)
定かではないが 目撃証言の中には
00:17:58
東洋人が人命救助をしたという
証言もある
00:18:03
(ルーディ)だが もし現場で
発見されたといわれる狙撃銃に
00:18:07
テンマの指紋でも付いていたら
00:18:09
どんな証言も何の役にも立たない
00:18:12
(ニナ)
いつまで待てばいいんですか?
00:18:14
時間がないんです
00:18:16
真実が明らかになって
警察が動きだす時
00:18:19
その時は もう…
00:18:21
テンマは もう…
00:18:26
(ライヒワイン)ニナ
00:18:28
あっ ご… ごめんなさい
00:18:31
ニナ 君の気持ちはよく分かる
00:18:34
私も この事件でリヒァルトという
大切な友人を失った
00:18:39
彼には明るい未来があった
00:18:42
だが ヨハンは
彼のその未来を断ち切った
00:18:46
私は引き下がらん 絶対に!
00:18:52
さあ 食おう
00:19:02
(ニナ)3匹のカエル…
00:19:06
おとぎの国のような街…
00:19:14
はっ!
00:19:16
あ… ああ…
00:19:21
分かった…
00:19:40
(門扉の閉まる音)
00:19:45
ディーター
00:19:49
僕も行く
00:19:51
あ…
00:19:54
何言ってるの あなたはダメ
00:19:56
ここにいるの いいわね?
00:19:59
ライヒワイン先生には
00:20:00
“お世話になりました”って
お礼を言っておいて
00:20:04
それじゃ
00:20:10
ディーター!
00:20:12
会いたいんだ
00:20:15
テンマに会いたいんだ!
00:20:32
(鐘の音)
00:20:43
(カール)3日目もダメか
00:20:46
“駅前広場で待て”と言ったって
こう だだっ広いんじゃ…
00:20:54
父さん あなたの言っていた
ある男には
00:20:58
会えそうにもありませんよ
00:21:08
(テンマ)カール…
00:21:10
(カール)あっ
00:21:13
(テンマ)カールだね?
00:21:14
あ… あなたは…
00:21:17
(テンマ)
君のお父さんの暗殺を企てた男
00:21:21
警察は そう言っていたかい?
00:21:23
(カール)え… ええ
00:21:25
3日間 ビルの上から君を見ていた
00:21:29
警察の尾行はついていないようだ
00:21:32
伝言 聞かせてくれるかい?
00:21:36
(シューバルトのせき込み)
00:21:37
(テンマ)しっかり!
もう少しで脱出できます
00:21:40
(シューバルト)
君は早く逃げろ 警察が来る
00:21:44
し… しかし…
00:21:46
ドレスデンだ 駅前広場で待て
00:21:50
息子のカールが伝言を伝える
00:21:53
(シューバルトのせき込み)
00:21:59
伝言を早く
00:22:00
(カール)あ…
00:22:02
これを
00:22:05
“チェドック橋”
00:22:07
“3匹のカエル”?
00:22:08
(カール)
そして 父はこう言ってました
00:22:11
“君の追っている怪物が
もしも双子なら…”
00:22:15
(シューバルト)
双子の母親は プラハで生きている
00:22:29
{\an8}♪~
00:23:33
{\an8}~♪